【観国之光 233】観光復興への取り組み スピーディな対応を 本社論説委員 内井高弘


「盛り上げる会」開催に感謝の言葉を述べる道観光振興機構の堰八会長

 9月の胆振東部地震で観光客が減少した北海道。オフシーズンを前に、観光関係者の表情はさえないが、そんな不安を取り払う会合が10月24日、東京都内で開かれた。「北海道を観光で盛り上げる会」だ。

 観光団体・企業のトップはもちろん、自民党の二階俊博幹事長(全国旅行業協会会長)、菅義偉官房長官、石井啓一国土交通相ら政府関係者も多数出席。総勢約150人が道観光の復興に向け力を尽くすことを誓った。

 主催者の1人である北海道観光振興機構の堰八義博会長は「大変ありがたい。涙が出る思いだ」と感謝していた。高橋はるみ知事も「今後は自助努力として観光資源に磨きをかけ、おもてなしの心をレベルアップし、観光客を迎えていきたい」と述べ、気持ちを新たにした。

 9月末時点の宿泊キャンセルは114万9千人泊、交通費や飲食を含む観光消費への影響推計額は356億円に上る。
 「道観光は日本の観光振興に対する影響が大きい」(日本観光振興協会の山西健一郎会長)こともあり、早期の観光復興が欠かせない。インバウンドの受け入れ数は全国3位であり、道の観光復興が遅れれば、「対外的なイメージ悪化につながりかねない」と危惧する声も挙がった。

 関係者が期待するのが「北海道ふっこう割」だ。すでに販売が始まっており、一部ツアーでは発売したその日に売り切れになる人気ぶりという。

 ただ、ふっこう割は期限がある。終了後の反動も心配されるだけに、落ち込まないような次の一手が欠かせない。

 こうした集まりで記憶に残るのは、東日本大震災後の2011年4月に東京・永田町の憲政記念館で開かれた「東北復興支援の集い」(日観振主催)だ。

 観光業者や東北各県の代表者ら約600人が集まり、3項目からなる「宣言」も発表した。二階氏はもちろん、当時の溝畑宏観光庁長官、俳優の辰巳拓郎さんや矢内廣ぴあ社長ら観光政策顧問会議のメンバーが出席し、東北の復興に懸ける思いを切々と語った。

 自然災害などで地域が大きな被害を受けた際、観光業界が足並みをそろえ、復旧・復興に向け業界としての強い姿勢を内外に示すことは極めて重要である。何より、スピーディーに事を進めるべきで、タイミングを逸しては元も子もない。

 盛り上げる会で二階氏が発した「ここに集まったのは専門家ばかりだ。『集まりに顔を出しておけばよかろう』という考え方では駄目だ。(日本の観光を盛り上げるため)真面目に真剣にやってほしい」という言葉が印象に残っている。集まったからには成果を出してほしい。明日はわが身である。

【内井高弘】


「盛り上げる会」開催に感謝の言葉を述べる道観光振興機構の堰八会長

 
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